目次
表紙 第1部: 研修としての成功(推奨度9.25) 成長の実証データ 第2部: 実践の壁(実践率2.5) なぜC評価なのか? なぜ実践できないのか? 昭和的無目的根性主義の三大症状 第3部: 「減じる」減の実践 デカルト的方法序説の実践 「減じる」の具体例 60点合格主義 2026年への挑戦 意識改革とデカルト 奥付・関連資料

動ける60点

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動けない100点

今の害対策を減じる「減対策」
推奨度9.25/10の研修が
実践率2.5/10になる理由と
その解決策
東京医療減Labo
2025年版 理論 + 初期実証編

第1部: 研修としての成功(A評価)

東京医療減Laboの害対応力向上研修は、参加者の成長という観点では圧倒的な成功を収めています。
9.25
推奨度
/10点満点
+69%
知識向上
+89%
自信度向上
95%
メタ認知達成
(複数視点の体験による
視野拡大の自覚)
研修プログラムとしての評価: A (95点)
2025年7月〜10月、5回実施で得られた実証データ
初学者から上級者まで、幅広い層が成長を実感
参加者全員が「自分の認知の癖」に気づく体験
参加者からは「他の視点を学べた」「実践的な訓練方法がわかった」「五感で学ぶ体験が新鮮だった」といった高評価の声が寄せられています。

成長の実証データ

5回の研修で確認された一貫した成長
測定項目 研修前 研修後 向上率
知識レベル(10点満点) 3.83点 6.48点 +69%
自信度(10点満点) 3.45点 6.52点 +89%
推奨度(10点満点) 9.25点

第2部: 実践の壁(C評価)

しかし、研修から1ヶ月後の追跡調査で、残酷な現実が明らかになりました。

研修1ヶ月後の現実

8.27
意欲
「やりたい」
2.5
実践
「できた」
ギャップ: -5.77点
= 70%の未達成率
障害要因として挙げられたのは:
時間不足: 68%
他業務優先: 27%
機会不足: 27%
一見、「忙しい」が原因に見えます。しかし、本当の原因は何でしょうか?
→ 次ページで、教育効果の評価基準から考えます

なぜ C評価なのか?

教育効果を正しく評価するためには、Kirkpatrickモデル(1959)という4段階の評価基準を用います。
レベル 評価内容 HDMGが実施する
研修訓練
評価
Level 1
反応
研修は良かったか? 推奨度
9.25/10
A評価
(95点)
Level 2
学習
知識・スキルは
向上したか?
知識+69%
自信+89%
A評価
(95点)
Level 3
行動
職場で実践
しているか?
実践率
2.5/10
D評価
(25点)
Level 4
結果
組織の成果に
繋がったか?
未測定 評価不能
総合評価の計算:
(95 + 95 + 25) ÷ 3 = 71.6点
教育システムとしては C評価(約70点)
研修業界の現実:
Level 1-2だけ測定: 90%の研修
Level 3まで測定: 5%の研修
Level 4まで測定: 1%未満
つまり、ほとんどの研修は「参加者の満足度」しか測っていません。HDMGが実施する研修訓練は、Level 3(行動変容)まで測定し、その結果を正直に開示しています。

なぜ実践できないのか?

「時間不足68%」という回答。しかし、本当に時間がないのでしょうか?

問題の本質

時間がないのではなく、無駄な努力で時間が奪われている
無駄な努力とは何か?
パターン1: 二重基準
「60点で合格なのに、満点を目指せ」
→ パレートの法則では、80%の努力が無駄
パターン2: 手段の目的化
「エクセルを埋めることが目的」
→ 情報分析ではなく、作業になっている
パターン3: 昭和的無目的根性主義
「頑張れば何とかなる」
→ システム改善ではなく、個人の努力に依存
結果: 本来の仕事に使える時間がない

昭和的無目的根性主義の三大症状

症状1: 二重基準の蔓延
建前:
「満点を目指せ」
vs
現実:
「60点で合格」
40点分の努力が、誰のためにもならない「無駄」になる
症状2: 手段の目的化
本来の目的 現実の行動 結果
情報を分析する エクセルを埋める 作業で終わる
計画を実行する 計画書を完璧にする 実行されない
害に備える マニュアルを整備する 読まれない
症状3: 個人努力への過度な依存
「時間がないなら、早く来て残業すればいい」
システムの問題を、個人の根性で解決しようとする
→ 持続不可能、燃え尽き症候群

第3部: 「減じる」減の実践

パレートの法則(80/20)
80%の成果は、20%の努力から生まれる
イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート(1848-1923)が発見した法則。ビジネス、生産性、時間管理など、あらゆる分野で実証されています。
害対応への適用
従来の発想 パレート適用後
平時 100%の完璧を目指す
→ 時間がない
60-80%で十分
→ 実践できる
有事 完璧な計画を求める
→ 混乱
そこそこの準備で動く
→ 対応可能
「減じる」ことで、備える時間が生まれる
これが「減」の二重の意味です:
1. 害の被害を減らす(従来の意味)
2. 無駄な努力を減らす(新しい意味)

デカルト的方法序説の実践

「複雑な問題は、最も単純な要素に分解せよ」
― ルネ・デカルト『方法序説』(1637)
害対応への適用
従来: 害別の複雑な計画書
地震対応マニュアル、火対応マニュアル、水害対応マニュアル...
↓ デカルト的分解
中島メソッド: 3つの不足への対応
1. 人手の不足 → 業務仕分け
2. モノの不足 → 代替手段
3. 情報の不足 → アクションカード
結果: シンプルにすることで、実践可能になる
この「3つの不足」理論が、中島康が20年の実践から辿り着いたBCPの本質です。複雑な害も、本質は同じ。だから、複雑な計画書は不要なのです。

「減じる」の具体例

事例1: 害対策計画書
従来 中島メソッド 結果
500ページの
計画書
減じる アクションカード
1枚
誰でも使える
事例2: 訓練企画
従来 中島メソッド 結果
半日かけて
全員集合の訓練
減じる 5分間、3人で
カレンダー
継続できる
事例3: 情報管理
従来 中島メソッド 結果
エクセル50項目の
報告書
減じる 3段階評価
(◎○△)
本質に集中できる
結果: 時間が生まれる → 実践できる

60点合格主義

なぜ60点で十分なのか?
「動ける60点」>「動けない100点」
害対応の本質は、完璧な計画を立てることではなく、実際に動けることです。
100点を目指す 60点で動く
• 完璧な計画を求める
• 時間がかかりすぎる
• 実行に移せない
• いざという時に動けない
• そこそこの準備で動く
• 短時間で実践できる
• 改善しながら進める
• いざという時に対応できる
具体例
アクションカード
80%の完成度でOK → 使いながら改善する
訓練
失敗してもOK(学びが目的)→ 訓練企画10原則 原則2
計画書
6割できたら使ってみる → 訓練企画10原則 原則7
「一度で完成させようとしない」
「つまずいた訓練は流さない。停止して改善し、繰り返す」
― 訓練企画10原則より

2026年への挑戦

実践支援システム1.0
70%の実践ギャップを埋めるために、2026年から新しい支援システムを開発します。
Phase 1: 無駄な努力の可視化
現状の業務分析
パレート分析(20%の重要業務を特定)
80%の無駄な努力を「減じる」提案
Phase 2: 実践時間の創出
「やめること」リストの作成
上司への説得シナリオ
組織的支援の獲得
Phase 3: 60点実践の伴走
完璧を目指さない勇気
小さな成功の積み重ね
卒業生コミュニティ
「減じる」ことで、実践の時間が生まれる
これは研修2.0ではなく、「実践支援システム1.0」の開発です。研修で学ぶことと、職場で実践することの間にある断絶を、組織的に埋めていきます。

意識改革とデカルト

このプロジェクトの真の目的
表層
害対応力の向上
本質
昭和的無目的根性主義からの解放
ご縁を持った方への贈り物
60点で合格する勇気
無駄な努力を減じる知恵
デカルト的方法序説の実践
完璧主義からの解放
「減」の二重の意味
従来の意味 新しい意味
1. 害の被害を減らす 2. 無駄な努力を減らす
どちらも本質は同じです。「減じること」で、「備える」時間とエネルギーが生まれる。
動ける60点 > 動けない100点
これが、次の10年の合言葉です

関連資料

理念編 (Why)
害対応力向上研修 哲学五箇条
実践編 (How)
→ 訓練企画10原則
体系全体
→ 東京医療減Labo 実践知の体系
💬 実践で困ったら

理論を読んだ後、実際の現場で「どう進めればいいか分からない」「うちの施設では難しい」と悩んだら、
「減災対策支援の輪」のAIチャットで相談できます。

2022年からの「よろず相談会」記録をNotebookLM AIが参照。職員の安全確保からインフラ障害対応、患者ケアの継続、訓練方法、備蓄管理まで、幅広い実践的助言を提供します。

よろず相談会へ →

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東京医療減Labo
「有事に備え、平時に鍛える
机上の空論から実践の知恵へ
五感で学ぶ減対策」
2025年版 理論+初期実証編
2026年版で「実践支援システム1.0」を追加予定
©HDMG2004 2025
CC BY-NC-SA 4.0
tbk_gensai_labo@tmhp.jp